日本酒の原点とも言えるどぶろくは、古くは飛鳥、奈良時代頃から主に米の豊作を祈願する神に奉納されてきた酒。そもそもどぶろくとは、米、米麹、水を原料として酵母を用いてアルコール発酵させ、できた日本酒を濾さない状態のものを言い、白濁している。見た目は同じ白濁していても粗い布などで漉している日本酒はにごり酒と言い、区別されている。東京の都心でもどぶろくを醸造する都市型の醸造所(マイクロブリューワリー)が増えつつあり、craft仕様の流行がどぶろくにも波及して各酒蔵のこだわりの醸造に繋がっている。
どぶろくは奥が深くて、クリーミーなテクスチャーと発酵から来る酸味のバランスなどによりそのどぶろくの個性が表現される。収穫した新米で秋以降に醸造された米粒の質感を感じるようなクリーミーさを味わうタイプは王道だが、春から夏の時期に飲みたくなるようなタイプのどぶろくも勿論ある。その一つが、奈良県千代酒造の「篠峯 どぶろく 生」。ボトルに表記されている「生、発泡性、アルコール度12−13度(低アルコール)」をキーワードとしてテイスティングすると、クリーミーさのほど良い加減、発泡性の喉越しの良さ、マイルドな酸味、低アルコールの飲みやすさが、この時期の暑さと相俟ってていくらでも飲めてしうようなライトな飲み心地のどぶろく。
千代酒造は明治6年創業の酒蔵で、奈良県御所市に位置し、葛城山の伏流水の地下水を仕込み水に使用し、酒蔵は周辺で酒米の山田錦を耕作するなど、自然の力や土地の恩恵を活かした農業と日本酒醸造に力を入れている。どぶろくの銘柄「篠峯」の秋晴シリーズは売り急がなくても良いをコンセプトに、古い品種の酒米にこだわり、あまり米を磨かずに仕込んでいることを特徴としていて、他に清酒タイプもにある。
ペアリングの料理には、夏のスパイシー料理、カレーのジャンルの中でもキーマカレーを選び、煮込んだ玉ねぎ、夏おくらをトッピングして、ライスの他にトルティーヤも添えた。
篠峯 どぶろく 生
千代酒造 奈良県御所市
原材料 米・米麹(雄山錦)
原料米 掛米(一般米*ロットにより異なる)
アルコール度 12 - 13%
外観:ミルク色、乳白色、
香り:クリームチーズ、カマンベールチーズ、ミルク飴
味わい:ヨーグルトのような酸味というよりもチーズクリーム、クリームチーズのような柔らかな酸味、ミルク飴のような風味も感じられ、クリームな舌触りを残しつつも発砲感があり、ライトな味わいで、喉越しのガス感がすっきりとした後味。春夏時期により合うどぶろく。
キャップには液体は通さず余計な炭酸ガスを逃す特殊シールを貼った小さな穴